
大阪府泉大津市の「酒専門店 鍵や」と、和歌山市の「酒やの鍵本」。蔵元から仕入れた日本酒を中心に、店頭とネットショップの両方でお酒を販売しています。
人気の銘柄ほど、店でもネットでもよく売れます。売れた分をネットショップの在庫に反映する作業は、鍵本社長が自ら、営業中1時間に1回のペースで続けていました。
この手作業をなくすために導入したのが、当社が開発した在庫連動システムです。レジも販売管理もネットショップも入れ替えず、その間をつなぐ仕組みだけを新しく作りました。鍵本社長、西川部長、大阪店の山田店長に、導入前後の変化を伺いました。
在庫修正の時間(鍵本社長)
60分→0分
1日あたり。売れるたびにネットショップの在庫を直す作業が、なくなりました。
ネットへの反映間隔
60分→10分
1時間に1回の手作業から、10分おきの自動反映へ。店頭のレジと、電話・飲食店からの注文の売上を反映します。
スタッフの在庫修正
1日5分ほど
売れるたびに直していた作業が、確認だけに。土日のたびに起きていた売り越しも、ほとんどなくなりました。
01導入前の課題
同じ一本を、
店とネットで取り合っていた

2つの店がお酒を売る窓口は、店頭のレジだけではありません。電話や飲食店からの注文、そしてmakeshopで運営する2つのネットショップ。同じ在庫を、いくつもの窓口で売っています。
店頭の売上は、POSレジの「TenpoVisor」に記録されます。ネットショップや電話、飲食店からの注文は、当社の受注管理システム(OMS)「マイティ通信販売」でまとめて受け付け、「弥生販売」に取り込んでいます。ところが、店頭や電話で売れても、ネットショップの在庫は自動では減りません。売れるたびに誰かが管理画面を開き、在庫の数字を手で直していました。
土曜日は来店されるお客様も、飲食店さんからの注文も多い。店舗と電話注文とネットで在庫の取り合いになって、売り越しがよく起きていました。結局、1時間に1回、手入力で在庫を引いていたんです。
鍵本社長
修正が追いつかないと、すでに在庫のないお酒にネットから注文が入ります。「土日は店が忙しく、在庫を売り越してしまうことが多くありました。そのたびに、ネットで買ってくださったお客様にお詫びをしていました」と西川部長。休みの日や営業時間外も、在庫のことが頭から離れなかったといいます。
修正は1時間に1回、忙しい時間帯には売れるたびに。1回に5〜15分かかり、鍵本社長の場合は1日で約60分を在庫の修正に使っていました。
大阪店ならではの難しさもありました。大阪店のネットショップには、倉庫の在庫と店舗の在庫を合わせた数を載せています。そのため、ネットで注文が入るたびに「店舗にしか在庫がない商品か」を確かめ、売り場に並んでいる一本を確保しておく必要がありました。
「ネットも店舗も売れ行きが速いときほど、接客とレジが優先になります。売り越しが起きていないか、別の仕事をしながらもずっと気にしていました」と山田店長は振り返ります。
影響は、作業の時間だけではありません。店頭で早く売れそうな商品は、あらかじめネットの在庫を少なめに載せておく。スタッフにとっては、今の正しい在庫がどのシステムにあるのかが分かりづらい。売り越しを防ぐための工夫が、ネットで売れる数を自分たちで絞ることにもつながっていました。
02検討と決め手
どこまで機械に
任せられるのか
解決策として、月額制の在庫連携サービスやRPAも候補に挙がっていました。ただ、RPAは月額の費用が高い。「それに、今の時代に合ったやり方なのか、という疑問もありました」と鍵本社長は話します。大阪店では、ネットに載せる在庫を倉庫の分だけに絞る運営も考えましたが、現実的ではありませんでした。
本格的に比較を始める前に、マイティ通信販売でお付き合いのあった当社からご提案したことが、今回の検討のきっかけになりました。
導入前に感じていた不安
今使っている各システムから、本当に在庫を連動できるのか。費用はどのくらいかかるのか。そして、どこまで機械に任せられるのか。
在庫管理はスタッフに任せたかったので、手作業が多くて複雑だと困る。どこまで機械に任せられるのか、が気になっていました。
鍵本社長
和歌山店と大阪店の2店舗で、ひとつの仕組みを共同で使うことになります。2店舗のデータが混ざらないかも、心配されていた点でした。
依頼の決め手
決め手になったのは、レジも販売管理もネットショップも入れ替えずに済む提案でした。当社が示したのは、今のシステムをそのまま使い続け、その間で売上を読み取って在庫を減らす仕組みです。
マイティ通信販売を通じて、日々の受注業務をよく知っていたこと。できること・できないことを最初にはっきり伝えたこと。費用が予算に見合い、納品後の保守まで任せられること。鍵本社長たちが当社を選んだのは、そのすべてがそろっていたからでした。
03仕組み
レジも販売管理も、そのまま。
間だけをつないだ
在庫連動システムは、お客様のサーバーで動き続けています。10分おきにTenpoVisorと弥生販売から新しい売上を読み取り、売れた数だけmakeshopの在庫を減らします。サーバーを再起動しても、自動で動き始めます。
makeshopは、大阪店の「酒専門店 鍵や」と和歌山店の「酒やの鍵本」で、別々のアカウントを契約しています。大阪店の売上は「鍵や」のアカウントへ、和歌山店の売上は「酒やの鍵本」のアカウントへ。2つのアカウントを店舗ごとに分けて処理するので、データが混ざることはありません。
弥生販売にはネットショップの注文も取り込まれていますが、その分の在庫はmakeshopがすでに減らしています。在庫連動システムは担当者で注文を見分け、電話・飲食店からの注文だけを読み取るので、ネットの売上を二重に減らすことはありません。
売上が在庫に反映されるまで

POSレジ(大阪店・和歌山店)
→![]()
受注を登録して、弥生販売へ転送
在庫連動システム当社のカスタマイズ開発「SPEC」で個別開発売上を読み取り、店舗ごとに減らす数を計算10分おきに自動実行
開発・保守

酒専門店 鍵やアカウント1大阪店の売上を反映

酒やの鍵本アカウント2和歌山店の売上を反映
ネットショップで売れた分は、これまでどおりmakeshopが在庫を減らします。
減る数を、先に確かめられる
管理画面の「手動実行・確認」では、指定した時間帯の売上から、どの商品がいくつ減るのかを、在庫を書き換えずに確認できます。稼働を始める前には、この確認だけで動かす期間を設けました。減る予定の商品と数をお客様と一緒に確かめてから、本番に切り替えています。
本番の前に減る数を確かめられたことは、大きな安心につながりました。導入を振り返って、皆さんがそろって高く評価しているのが、この事前の確認です。

止める・再開するを、連携ごとに
弥生販売とTenpoVisor、大阪店と和歌山店。4つの連携は、それぞれ画面のボタンで一時停止・再開できます。止めたまま2時間が過ぎるとメールでお知らせし、連携でエラーが起きたときも、お客様と当社の両方にメールが届きます。
稼働しているかの確認や、ログの確認、一時停止ができる。管理する立場として、そこが助かっています。
西川部長

どの伝票で、いくつ減らしたかが残る
連携した売上は、日付・伝票番号・商品コード・減らした数とともに記録されます。「この在庫はなぜ減ったのか」を、あとから画面で追いかけられます。
04導入の効果
空いた時間は、
経営と売り場へ
稼働後、鍵本社長が在庫の修正に使う時間は、1日約60分から0分になりました。ほかのスタッフの手作業も、1日5分ほどです。土日のたびに起きていた売り越しや在庫切れ表示も、ほぼなくなりました。
すぐに元が取れました。1日60分は大きいです。
鍵本社長
空いた時間について、鍵本社長は「ほかの業務に集中できるようになった」と話します。いまは経営や今後の計画を考える時間に充てています。システムへの投資についても「時短になるものには、積極的に投資していきたい」と前向きです。
電話の問い合わせにも、すぐ答えられる
思わぬ効果もありました。「今ある在庫が簡単に分かるようになりました。スタッフも正しい在庫をネットショップの画面で確かめられるので、電話での在庫のお問い合わせにもスムーズに答えられています」(鍵本社長)。西川部長も「店舗の在庫が、システムで分かりやすくなった」と話します。
電話注文のあとに、在庫を直さなくていい
電話注文の流れも変わりました。
以前は、電話の注文をマイティ通信販売で登録して弥生販売へ転送したあと、ネットの在庫を手で引いていました。今は弥生販売へ転送すれば、ネットの在庫が自動で減ります。そのぶん、ひとつひとつの業務を慎重に進められています。
西川部長
スタッフからは「大量の注文が入ったときの手作業が減って、早く対応できるようになった」という声が上がっています。空いた時間は、お客様の接客や相談への対応、売り場づくりや商品の陳列に使っています。
品出しの回数が増えた
大阪店では「品出しを、以前より頻繁にできるようになりました」と山田店長。
完全とまではいきませんが、売り越しの心配はかなり軽くなりました。在庫を直していたスタッフに別の仕事をお願いできるようになり、販売サービスの面でも良くなったと感じています。
山田店長
今まで手が回りきらなかったところにも、目を向けられるようになってきたといいます。新しいシステムで覚えることや戸惑うことも「それほど大きな影響はありませんでした」とのことです。
ネットの在庫修正
売れるたび、または1時間ごとに手作業
10分おきに自動で反映
売り越し
土日を中心に発生し、お詫びとキャンセルの連絡
ほぼなくなった
電話注文の処理
弥生販売へ転送したあと、ネットの在庫を手で修正
弥生販売へ転送すれば、ネットの在庫も減る
在庫の確認
正しい在庫がどのシステムにあるか分かりづらい
ネットショップの画面で確かめられる
空いた時間の使い道
在庫の修正と、売り越しの確認
経営・今後の計画、接客、売り場づくり、品出し
05同業の方へ
「できない」と
決めつけない
同じように在庫管理で悩む同業の方へのメッセージを伺うと、鍵本社長はひとこと「相談してみるものだと思いました」。西川部長も「システム上できないと思っていても、相談することは大切」と続けます。
山田店長は、稼働までの準備の時間をこう振り返ります。
希望する内容が多かったので、導入前は本当に実現できるのか不安も大きかったです。それでも根気よく、希望を聞き取っていただきました。稼働までに準備が必要なこともありますが、実際に動き始めて業務が軽くなったのを感じると、未来への投資として必要な時間だったと思っています。
山田店長
こんな会社にすすめたい
実店舗とネットショップの両方を運営している会社に、ぜひすすめたいといいます。複数の会社や店舗を経営していて、今のシステムを入れ替えずに手作業を減らしたい会社や、専任のシステム担当者がいない小規模なお店にも向いています。
次に取り組みたいこと
店とネットの間には、まだ手作業が残っています。鍵本社長からは「レジの売上も、自動で販売管理に取り込まれるともっと便利」、山田店長からは「新商品の登録や値上げのたびに、いくつものシステムを直している。一括で更新できる仕組みがあれば導入を考えたい」という声をいただきました。次の改善も、引き続きご相談しながら進めていきます。
カスタマイズ開発「SPEC」
うちの組み合わせでも、できる?
弥生販売などの基幹パッケージ、各社のPOSレジ、makeshopをはじめとするネットショップ。お使いのシステムの組み合わせと、なくしたい手作業を、そのままお聞かせください。今の仕組みを生かせるかどうかから、一緒に確かめます。
※記事の内容は取材時点(2026年9月)のものです。
※管理画面の画像は、デモ用のデータで表示しています。


